COLUMN written by Yamazaki
第19回
 
中国の石油危機
 
 

 
  中国の人口が約 13 億人であることは、周知の事実です。これは、先進 7 ヵ国( G7 )の人口約 7 億人の 2 倍近くに相当します。また、中国の経済発展が目覚しいものであることは、誰もが認めるところです。
  これだけの人口を抱える大国が飛躍的な経済成長を続けるということは、それに比例して資源の消費量も急増しています。たとえば、中国は現在、日量約 700 万バレルの石油を消費しています。一方、アメリカは約 2000 万バレルです。もし、中国がアメリカ並みの 1 人当たりの消費量に達した場合、約 9,300 万バレルが必要になります。もちろん、これには、かなりの猶予があります。また、中国の石油消費量の増加率が今後は鈍化するという研究報告もあります。しかし、 OPEC の石油生産量は、日量 2550 万バレルであり、中国の動向次第では生産量を急増させなければ追いつかない状況が来ないとも限りません。価格は、需要と供給のバランスで決まります。つまり、需要が増加すれば、供給が一定の場合、価格は上昇します。地球からの供給量は有限ですから、長期的に見れば、価格は漸次上昇します。現在進行している世界的な原油高は、中国と無縁ではないのです。
  また最近は、中国の危機感の表れとして、エネルギー問題に関する国際的なトラブルの火種が散見されます。日本とは東シナ海の海底資源開発問題、アメリカとはユノカル買収問題です。これらはいずれも、中国海洋石油という中国の国有会社によって行われています。日本は中国に対して開発の停止を求めていますし、アメリカでは安全保障の観点から一部議員の間で懸念を表明する動きがあります。すなわち、中国は他国と軋轢が生じることを承知の上で、資源確保に奔走しているのです。このまま中国の石油需要が拡大し続ければ、さらに緊張が高まることは容易に想像できます。ある種、今の中国は石油危機の前夜と言ってもよい状況なのです。
  現在、日本では中国が仕掛けた靖国問題の策に嵌まり、靖国神社が日中間の最大の懸案事項であるかのごとき妄想に取り憑かれています。まるで、方広寺の鐘の銘に言い掛かりをつけられた豊臣家のように、事態の本質を見失い、内部で混乱しているのです。中国の目的は、あくまで様々な利権であり、それらから目を逸らさせるための口実として靖国神社が利用されているに過ぎません。ですから、日本人が第一に考えるべきことは、官民挙げて資源戦略を再構築することなのです。まずは、早急に東シナ海で油田及びガス田の試掘を始めることです。これに付随して、海上防衛力の強化も必要です。もちろん、戦争は絶対に避けなければなりません。中国はアメリカと並ぶ重要なパートナーとして位置付けるべきです。その点では、北朝鮮とは全く異なります。であるからこそ、お互いを非難し合うという現在の関係から脱却し、常に交渉のテーブルにつける状態にしなければなりません。しかし、一定の防衛力がなければ、外交上の発言力が低下してしまいます。対等の立場に立って、初めて平和友好の関係が築き上げられるのが外交です。その上で、資源問題という人類共通の難局に協力して当たるべきなのです。逆に、このまま手を拱いているようでは、中国の石油需要の拡大によって石油危機になるのは、中国ではなく、日本ということになりかねません。中国のさらに先を読んで開発や投資をすることが、日本には求められています。

 
平成17年7月1日
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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代表取締役会長
山崎 秀尚

 
 
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