COLUMN written by Yamazaki
第22回
 
株式投資は単純に考える
 
 

 
  このところ、株式市場が活況です。 9 月末時点の日経平均の終値 13,574 円 30 銭は、バブル崩壊後の安値 7,607 円 88 銭から 78.42% 上昇し、力強い動きを示しています。では、このまま買い進めるべきでしょうか?
  私は、そうは考えません。たしかに、現在は上昇基調にあるので、当面は儲かる確率が高いでしょう。しかし、長期的には市場が過熱している状況で株を買うのはお奨めできる投資戦略ではないのです。
  仮に、日経平均が、 2 万円の大台を回復したとしましょう。その場合、現在からの上昇率は 47.34% です。これはバブル崩壊後の安値から現在までの上昇率 78.42% には到底及びません。その代わり、バブル崩壊後の安値になった場合は、 43.95% の下落です。値上がりしてから買ったのでは儲けが少ない上に、損をするときは痛手が大きくなります。たしかに、不良債権の処理が進んだおかげで、そこまで下がることは考えにくいかもしれませんが、原油の高騰や税制改革、社会保障制度改革に伴う国民負担の増加によって消費が停滞すれば、いつ株価が下がってもおかしくありません。株価は、何かのはずみで気まぐれに変化するものです。株価が上がったときには、より慎重に行動する。この簡単な理屈を多くの投資家が見過ごし、失敗の確率を上げているのです。
  実際、個別に見て、割安な株は、日経平均がバブル崩壊後の安値を記録した前後と比べて、明らかに減少しています。もちろん、全てが投資不適格な水準まで買い上げられているわけではなく、私が注目している株が、皆無であるとは言いません。また、当社のポートフォリオについても全てを売却したわけではなく、総資産の半分弱は株式で占めています。しかし、新規投資に関しては、大儲けできるチャンスが減って、損をする危険性が増えているのは、数字から判断できる客観的な事実です。何でもかんでも買えば儲かるという長期投資家にとって最もありがたい市場の低迷期ではないのです。
  株は、買わなければ損をすることはありません。一方、株価が上昇する局面になると、テレビや新聞の報道で、ファンドマネージャーが、ベンチマークに負けないために、特定の銘柄なりポートフォリオに占める株式なりのウェートを上げるということが、しばしば言われます。いわゆる持たざるリスクです。しかし、そうしたファンドマネージャーの行動は、安値で投資する機会を逃したばかりか、高値で株を買うことによって顧客の財産をより大きな危険に曝すという二重の失敗であり、保身のための背信行為なのです。株式投資で最も危険な発想の一つは、みんなが儲かっているのに自分は儲かっていないという焦燥や嫉妬です。損をしているわけでもないのに、何か損をしているように感じる心の弱さです。もし、値上がりに釣られて投資すれば、一時的な高揚感や満足感と引き換えに、取り返しのつかないダメージを受けることでしょう。
  私の場合、投資判断を誤れば会社が傾き、会社の破綻は株主の損失につながります。私に求められるのは、“絶対”に勝つということです。私も人間です。失敗しないと言い切れるほど傲慢ではありません。だからこそ私は、僅かな判断の狂いも出さないよう常に多くの情報を収集し、何事にも動じない精神力を養うべく日頃から努力しています。そのとき肝に銘じているのは、株式投資は単純に考えるということです。そして、私がなすべきことは、
“景気の拡大は永遠に続かない。次に景気が後退するときには、株価も下がる。優良企業の株が割安になったら買う。景気が上向き、株が値上がりして割高になったら売る。”
 この繰り返し繰り返し。これ以上のことでもなければ、これ以下のことでもありません。そして、私はこの単純な投資戦略で、株式投資を始めた学生時代から現在に至るまで常に勝ち続けているのです。

 
平成17年10月1日
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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代表取締役会長
山崎 秀尚

 
 
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