COLUMN written by Yamazaki
第26回
 
ズル賢いよりバカ正直
 
 


 「投資家はもっと勉強しないと、ズル賢い人に騙されちゃいますよ」(堀江貴文)
  ズル賢いつもりの本人が塀の中では、説得力がありません。破産は当選確実でしょう。今や負け組の代表格。前門の検察、後門の株主に挟撃され人生おしまいです。
  また、堀江容疑者を絶賛し、逮捕が想定外であった人々のリアクションも見苦しい限りです。ライブドア株が値上がりすると言ったインチキ占師はいざしらず、本来は国民の模範たるべき政財界の大物ですら、その対応はお粗末です。
  たしかに、東京地検特捜部の捜査が始まるまでは、誰も堀江容疑者の容疑事実を認識することは、不可能でした。しかし、言動の端々から信用できない人物であることは容易に判断できたではありませんか。冒頭の発言以外にも、「格差が開いてもエリートに食べさせてもらえばいい」や「金で買えないものはない」などの発言を繰り返しており、真っ当な人間でないことは明らかでした。堀江容疑者が想定するエリートとは株主や経営者のことでしょうが、冗談ではありません。株主や経営者は、労働者の労働によって生まれた果実を得るのであって、むしろ食べさせてもらっている側です。いわば、社会に寄生しているのです。また、金が万能だと言うのなら、検察庁なり裁判所なりを買収して無罪を証明すればよいのです。そんなことはできるわけもなく、起訴から実刑のフルコースが待っていることでしょう。
  堀江容疑者のような人間が破綻することは、少し想像力を働かせればわかるはずであり、支持した人々が責任を追及されるのは当然のことです。さらに憂慮すべきは、逮捕後も堀江容疑者を英雄視し、功績があったかのように称えるシンパの存在です。遵法精神の欠如した人間がはびこる社会は不健全です。教育の見直しなどの対策を講じなければ、日本の将来に禍根を残すことになるでしょう。一方、起業家や投資家というもの自体が堀江容疑者と同様の思想に基づいているかのように誤解されるのは遺憾なことであり、その意味でも堀江容疑者の罪は重大です。私は、起業家の一人として、堀江容疑者の逮捕をきっかけに証券市場に関する法整備が進み、起業家が正々堂々と既得権益と戦える社会基盤が構築されることを希望します。また、特捜や証券取引等監視委員会が、違法行為や脱法行為を悪と思わない市場参加者を引き続き市場から排除することを期待しています。
  私が常々言っていることですが、何度でも言いましょう。投資家は、ズル賢いよりバカ正直であるべきです。天網恢恢疎にして漏らさずの言葉どおり、ズルをすれば堀江容疑者のように必ず発覚します。そもそも、サッカーでイエローカードやレッドカードを出される選手は、反則なしで勝てる選手より能力が低いのと同様、株式投資で汚い手段を使わなければ市場に勝てない投資家は、運用能力が低いことを示しています。イエローカードは一枚までなら許されるというのも、蒙昧で愚劣極まりない考え方です。まして、株式市場から退場になるということは、サッカーのような一試合の欠場だけでは済まされず、永久追放を意味しているのです。

 
平成18年2月1日
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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代表取締役会長
山崎 秀尚

 
 
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