COLUMN written by Yamazaki
第30回
 
社会保険庁という名の違法集団
 
 


  ねずみ講とは、先に加入した会員に対して後から加入した 2 人以上の会員が金品を渡し、その連鎖を無限に続けるピラミッド型の組織です。会員が 2 倍ずつ増えると仮定すると、 27 次会員で 134,217,728 人となり日本の人口を超え、 33 次会員で 8,5899,934,592 人となり世界の人口を超えます。つまり、いずれかの段階で破綻することは明白であり、無限に連鎖するという前提自体が成り立たないため、違法です。
  一方、現在の日本が採用している賦課方式の年金制度は、現役世代から保険料を徴収して高齢者に年金を支払う仕組みです。これは、人口が減少しないことを前提にしています。もし、人口が減少すると、現役世代の負担は増加します。それに伴い、保険料の負担に耐えられない、または将来の受給に悲観的な人々が保険料を支払わなくなる悪循環に陥ります。現在の日本は、まさにその状況です。
  2004年現在、一人の女性が一生に産む子供の数を表す合計特殊出生率は、 1.289 です。 1970 年代以降は、ほぼ単調減少です。また、第一子出生時の母親の年齢は、 28.9 才であり、高齢化が進んでいます。仮に、第一子出生時の母親の年齢が 30 才、合計特殊出生率が 1 になってしまった場合、各年の人口が 30 年周期で半減することを意味します。 2004 年生まれは 110 万 7000 人で、 30 年前の 1974 年生まれの人口は 194 万 9000 人です。 30 年間で約 57% に減少しています。これほど急速な人口減少がいつまで継続するかは不明ですが、今のところ少子化の傾向に歯止めがかかる気配が見られないのは確かです。政府の少子化対策も担当の猪口大臣が出産の無料化を繰り返し持ち出すことしかできないようでは無策ということであり、全く期待できません。ということは、保険料を支払う現役世代が増加し続けることを前提にしている賦課方式の年金制度は事実上破綻しており、この制度を存続するのは、ねずみ講と似たりよったりの詐欺的システムを放置しているのと同然です。
  この際、年金制度の崩壊を先送りすることなく、積立方式や全額税方式も含めて根本的な制度変更を検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。もちろん、それぞれには一長一短があります。しかし、いずれの議論にせよ、社会保険庁をねんきん事業機構に名称変更したり、未納者の健康保険の有効期限を短縮したりといった中身のない年金改革よりは、検討課題として有意義であると思います。国民は現状を批判するだけではなく、議論に加わり対案を考えられるぐらいの見識を身に着けるべきです。また、破綻しない制度を構築するために、どれだけの非難を受けてもやり遂げる覚悟を持った政治家が現れるのも改革の必須条件です。
  ともあれ、肝心の社会保険庁が不祥事を起こしているようでは、まともな議論以前の問題かもしれません。日常的に違法行為を繰り返して業務停止命令を受けた損保ジャパン出身の村瀬長官の下、社会保険事務所が保険料の不正免除を行っていました。儲かれば何をやってもよいという民間の悪しきノルマ主義が、腐敗した官僚機構に導入されたことによって、保身のためには不正もいとわない体質が生み出されたのです。ノルマ自体は民間では当然のことですが、法令遵守を徹底することもまた当然であって、それを怠っていた村瀬長官の責任は重大です。ところが、村瀬長官は責任を取るどころか、開き直る始末です。ただでさえ苦しい年金制度に対して、一般職員から長官までが国民の不信感を助長するようでは、社会保険庁(ねんきん事業機構)不要論が出るのも自然の成り行きでしょう。本気で事態に対処するのであれば、不正にかかわった職員は全員懲戒免職にするべきです。実現不可能な夢物語の将来プランをちらつかせて加入を強制し、保険料の私物化や不正な手続を行う。こうした行為を民間人がすれば、確実に刑務所行きです。同じことを社会保険庁の職員がしても、処罰されないのであれば、日本のモラルハザードを象徴しているように思えて残念でなりません。

 
平成18年6月1日
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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代表取締役会長
山崎 秀尚

 
 
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