COLUMN written by Yamazaki
第35回
 
リチウムイオン電池
 
 

  先日、ソニーは、 2006 年度の業績見通しを、大幅に下方修正しました。その原因は、大きく分けて二つ。一つはゲーム事業の不調。もう一つは、リチウムイオン電池の発火事故に伴う回収と交換です。
  リチウムイオン電池は、 1991 年にソニーが実用化し、現在ではノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラなどに用いられている二次電池(充電池)です。“ Li-ion ”と書かれていれば、それがリチウムイオン電池であることを示しています。
  リチウムイオン電池は、軽量で高電圧という特徴があり、それまでのニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池を駆逐し、モバイル端末向け電池の主流になりました。俗に、放電中に再充電すると電池の容量が減ると言われていますが、そうしたメモリー効果はニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池の問題であり、リチウムイオン電池にはありませんので、継ぎ足し充電して使用できることもメリットになっています。
  一方で、リチウムイオン電池は、様々な欠点も抱えています。
  ソニー製のリチウムイオン電池に見られるように発火しやすいことが、第一に挙げられます。もともと電池単体では危険なため、安全装置でガードされていて複雑な構造になっています。そのため、ソニー製のみならず中国などで製造された粗悪品には多くの発火事故が起こっています。
  他には、プラス極にレアメタルであるコバルトの化合物(コバルト酸リチウム)が使用されているため、電池の価格を上げる要因になっていす。また、乾電池のように何種類かの規格でほとんどの機器をカバーできる状態とは程遠く、同じメーカーのパソコンでも機種ごとに違う電池が必要であるぐらい種類が多岐に渡っています。それに伴い、充電器の数も多く、類似しているため混同する危険性があります。
  さらには、適正な使用方法が分かりにくいことも欠点です。より安全で効率的に使用するには、 AC アダプターを電源として使用する場合は電池を外し、電池を電源とする場合は AC アダプターを外すべきです。また、満充電のまま長期間放置したり高温の状態で保存したりした場合には、容量が減少してしまいます。あまり充電しない状態で冷暗所に保存しなければならないのです。つまり、充電完了後も AC アダプターを接続したままにするのは禁物です。
  次に使用機器別の注意点について述べます。
  ノートパソコンの場合は、 CPU による発熱から電池を守ることが重要です。前段の説明とは矛盾するようですが、ノートパソコンを使用する場合、実際には多くの方が AC アダプターと電池の両方を接続して使用していると思います。とくにその場合は、パソコンの発熱に注意しなければなりません。私は、冷却ファンを塞がないように注意しながらアイスノンの上に置いて使用しています。 CPU の熱暴走を防ぐのが主目的ですが、電池が高温になるのを抑える効果もあります。
  携帯電話に関してよくあるトラブルは、水中に落とすことです。水が原因で故障した場合は、電池に印刷された赤のドットが消えてしまい、保証の対象にならなくなります。私も水着のポケットに携帯電話を入れたままシャワーを浴びてしまい故障させた経験があります。
  これらの欠点がありながらも、前述の利点は大きく、次世代の電池として期待されている燃料電池が普及するまでは、リチウムイオン電池は、主力の充電池として使用されることが予想されます。くれぐれも使用上の注意を守って正しくお使いください。
  ところで、電池どころか、尻に火がついたソニーですが、これだけの事故を起こして経営不振に陥りながら、全く反省がないようです。ホームページを見ても、そのトップページには謝罪の言葉ひとつなく、どのパソコンが対象かも分かりません。事故の内容こそ違え、松下どころかパロマ以下の対応です。世界のソニーもここまで堕ちたかと思ってしまいます。以前と比べてソニー製が身の回りにないのは私だけでしょうか。保証期限が過ぎた直後に故障する“ソニータイマー”という不名誉な言葉が一般化してしまった現在、タイマーが付いているのは製品よりもむしろ会社自体なのかもしれません。
 
平成18年11月1日
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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代表取締役会長
山崎 秀尚

 
 
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