COLUMN written by Yamazaki
 
エントロピー増大の法則とエネルギー戦略
 
 


  エントロピー増大の法則は、熱力学の第二法則ですが、第一法則のエネルギー保存の法則に比べると学校で十分に習うこともなく、マイナーな存在です。しかし、この法則ほど今後のエネルギー問題に関して重要な法則はありません。
  エントロピー増大の法則とは、簡単に言えば、地球のように閉じた世界で使われたエネルギーはどんどんバラバラに散らばってしまうということです。たとえば、ガソリンを燃やして車を走らせると、使われたエネルギーは拡散してしまって元のガソリンが持っているエネルギーよりはるかに無秩序な状態で存在することになります。エントロピー、すなわち、無秩序や乱雑さといったものが増大してしまうのです。逆に言うと、ガソリンは低エントロピーな資源であり、利用しやすいということです。つまり、低エントロピーのガソリンを使うことはエネルギーの利用方法としては効率的であり、合理的なのです。
  一方、世間一般的に最も効率的なエネルギーと考えられている原子力は、実際には不合理極まりない無駄の塊です。原子力発電の燃料であるウラン 235 は、自然の状態では濃度が薄く、そのままでは使用できないので濃縮しなければなりません。つまり、元々は高エントロピーであり、濃縮するには莫大なエネルギーを必要とします。また、使用済みの核燃料を空気中に拡散させることはできません。再処理にも莫大なエネルギーを必要としますし、最終処分場で無害になるまで途方もない年数を管理しなければならないのです。もちろん、管理にもエネルギーが必要で、この点でも石油系の燃料と比較して著しく効率が悪いと言えます。しかも、危険が伴うため恐ろしく不合理なエネルギーなのです。
  以前、私は原子力賛成派であり、安全なら東京に原発を造れというようなヒステリックな反対派を批判していましたが、今は違います。そうした感情論とは異なり、科学的、経済的に考えて、原子力は全く割に合わないエネルギーだと思い知ったため反対しています。エントロピーを私に教えたのは当社社長の福地です。さすがは東大の工学修士だと感心させられたのを記憶しています。
  それはさておき、電力会社が長年に渡って原子力関連の不正を隠蔽していたことが発覚し、経済産業省が処分を下しました。その甘いこと。電力会社、経産省ともに国民を愚弄しているかのようです。また、高知県の東洋町は、高レベル放射性廃棄物最終処分場の誘致をしていた町長を落選させ、反対派を新町長が誕生しました。
  これらは、国民が原子力の危険性を考える上で重要なニュースです。しかし、より重要なことは、エントロピーの観点から原子力について判断し、その不合理性を認識して日本から排除することです。そのためには、最も優れた燃料である石油の確保に努めなければなりません。

 
平成19年5月1日
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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代表取締役会長
山崎 秀尚

 
 
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